ああ、不思議な国、ニッポン
筆者プロフィール VOL.064



 最近ではやれリサイクルだエコロジーだという言葉を耳にしない日はない。急激に騒いでいるということは、地球がもうすでに、アブナイ方向にもう何歩もふみ込んでしまっているのではないのかという疑問を抱く。


 昭和の戦前、戦中、戦後。大地主やらなにやら大金はたいて、庶民にとっては何の関係のない世界だった。

 特に江戸庶民にとって、物質が貴重だった時代、現代でいうリサイクルをするべき以前に同じものを繰り返し繰り返し、できる限り長くつかった。最近では“ゆかた”姿はあまり一般的ではなくなったが、かつては湯上りに着る気楽な衣服であった。木綿地のゆかたは長く使うというより徹底的に使い抜く、資源の見本のようなもので、昔の人のものの使い方の典型的な例として“ゆかた”を追ってみようと思う。



 子どものいる家では母親が縫うのがふつうで、最初は大きめに仕立てておき、成長すると肩上げ、腰上げをおろし、さらに大きくなると下の子供に着せる。何人かの兄弟が着るとつくろいが目立ったりすり切れたりするので、古ゆかたを寝巻にした。これでしばらくすると、今度は赤ちゃんのオムツにする。オムツはいずれ雑巾にする。最後には汚れてボロボロになってしまうが、これが終わりではない。まだ寿命があって、風呂やかまどの燃料になって長く役立つ一生を終えるのである。
 現代のように大量生産、大量消費、大量廃棄の時代になると誰もが感覚マヒに落ち入り、“あら、もったいない”だの“物の冥利がわるい”などとは口にしなくなってしまう。



 建築物でも建てては壊し、食材も世界から買い漁り、便利さを求め、人の心や価値も拝金主義の前では見出せず。さて、我々人類は、あの日本人はこの先何処へ向かうのだろうか、文化なんてものは何の役にもたたなくなってしまうのか。“美しい国にっぽん”それはどこの国の誰のたわごとなのだろう。

-新刊発売中!-
「開高健 夢駆ける草原」
高橋昇著

\2,100(税込)/ サイズ:A5判 / 203p
出版:つり人社

平凡社ライブラリーoffシリーズ 能梅若六郎出版中(\1,900)

「男。が、いた。」 開高健 2,100円(税抜) 小学館より発売中
「旅人」開高健 1,900円(税抜) つり人社より発売中