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VOL.O29 |

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ご存知TVの人気番組「水戸黄門」そのストーリーの最後の最後、まだかまだかと待っていると、「ええい、静まれ、静まぬか、この紋所を何とこころえる、これが目に入らぬか」と差し出された印籠には、徳川将軍の家紋である「三ツ葉葵」が描かれていて、いかに極悪非道の悪党もひれ伏さざるをえない。これでメデタシメデタシになるのだが、単に家紋ではあるが、それほどの効果があったということで、何だかバカバカしいと苦笑いするという訳にはいかないのである。日本人の家に対する思いと、その家の紋、その心の中の奥に何か特別なものがあるはずである。
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家紋というものが使われるようになったのは平安時代の末期のころ、もともとは公家が牛車などに好みの文様を描いて装飾的に用いたのが始まりで、やがて混雑する中で自分の車を識別するための目印として使うようになった。それがその家の紋となったということのようである。
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他の家との区別、我が家の誇、やがてそれが武家社会にも用いられるようになり、徳川将軍家の三ツ葉葵のように権力の象徴にもなったのである。 |

| 現在、和装の礼服とされている紋付はさまざまな意匠の紋が使われていて、紋帳という本に載っているものだけでも約六〇〇〇種あるといわれている。平安時代の貴族のものであった紋は、一般庶民の手にするまでに長い年月を経るのだが、その図柄は洗練され、まさに驚くべき美事なデザインとして進化をしてきたのである。 |
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結婚式に出席すると、○○家とある。これはまだ個人と個人の結びつきではなく、家と家の行事であるということである。親類縁者がそれぞれの家紋を背にして集うのである。「家」の行事である冠婚葬祭の衣服、調度品などに、また墓や位牌、あらゆる場に家とその象徴である家紋が多く用いられてきた。
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長い歴史を経てもなお紋所は消えることなく、現在にも生き続けているのである。
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協力・中村福助
12月上旬小学館文庫出版予定。


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