ああ、不思議な国、ニッポン
筆者プロフィール VOL.O13

鶴といえば亀、そんなふうに日本人にとって鶴と亀は対をなして考えられてきた。鶴は千年、亀は万年といわれるように、長寿の目出たさのシンボルともなっている。
松竹梅に鶴亀がそろえばこれはこれ以上の組合せは考えられない、それ程の存在である。


松、竹、梅、三つとも寒にたえるので三友とも呼び、わが国ではめでたいものとして慶事に用いるのであるが、鶴亀も同じく縁起物として考えられ、その柄は種々の飾りものや、美術品、菓子、着物などのデザインとしては今だにトップの座を確保している。

その他、能の番組の中の一つにも「鶴亀」があり、長寿の象徴ともいうべき鶴と亀の舞をまうことによって、迎えた新しい年を祝うということを主題としている作品であり、能の鶴亀から、長唄、常磐津などにも鶴亀は用いられ、祝儀物とされている。江戸のころには、何か良からぬことが起きそうだ、起きた、そんな時には「鶴亀鶴亀」といって、災いからのがれようとするというようなことがあったと言われている。



「鶴は子煩悩な鳥であり、一方の亀は頭をたたかれれば頭を引っ込め、足を引っ張られれば足を引っ込め、なに一つとして抵抗せずに、じっとがまんをする生き物であり、「私も嫁に行った時には鶴のように我が子をかわいがり亀のようにじっと辛抱強くいたします」という花嫁の気持ちの表れが鶴亀なので、だから婚礼の飾り物に鶴亀をあしらうのだ。」落語の話なので、その真偽はわからないが、なかなかに説得力はある話である。

 

いずれにしても鶴亀は、おめでたい席にはよく似合うのである。

歴史的に、どのあたりから鶴亀が登場したのかは良くは知らないが、何かをシンボルとしていたいという気持ちの表れであったろう。縁起をかつぐことで世の中の凶からのがれたいという人の心は、今の時代であろうが、何も変わらずにあるような気がしてならない。