今回の乗船地・リューデスハイムはライン河観光のメッカだ。狭い道を移動しながら、上を向いて、見事な鉄製看板の写真を撮ったりし。気づいたら、中国語のざわめきの中だったり、迷子になりそうなくらい、多くの観光客で賑わっていた。

12世紀に建てられたブレムザーブルク城、ライン川中流の最古の城の一つ。この城の塔の上から、ライン川を見下ろし、通行する船から税金を徴収していた。現在、この城はワイン関連の世界有数のコレクションを有するワイン博物館になっている。

観光客で賑わうこの小さな通り(約幅3m,長さ150m)に,ワインバー・レストランやホテル、みやげ物店が並んでいる。美味しそうな匂いを漂わせる立ち食いソーセージスタンドもある。

ツアーでは、試飲ができるワインショップ(NICOL)に案内される。辛口から甘口まで、糖度の違う4種の美味しい貴腐ワインが味わえた。さすが、世界三大貴腐ワイン産地のひとつ、美味しいワインだった。試飲したワインは、我々のために日本へ既に輸送済みで、希望日に配送されるとのこと。
しかし、旅の始めに買ってしまうと後の楽しみが消滅しそうでやめておいた。

何か記念にと、飲みかけワインの完全密閉ができるという便利グッズのステンレス製キャップを買った。使っているが、割とよさそうだ。でも10ユーロは少々高かったかも。
店を出て、散策後、ライン河クルーズの乗船場へ向った。
 


リューデスハイムからローレライを経て、サンクトゴアまで、1時間45分のクルーズ。世界遺産に登録されたこのライン河流域は、渓谷の険しい斜面に、今でも騎士が見張っていそうな多くの古城があり、ブドウ畑が棚田のように拡がり、わずかな川辺に教会やパステル調の木組み家屋が並ぶ街がある。古き、良き時代の面影を色濃く感じさせられるところだ。


リュウデスハイムやアスマンスハウゼンのあるラインガウ地域は、ライン河の南斜面に位置し、多くの畑で最高品種と言われるリースリング種の葡萄を栽培している。土壌と相俟って、その葡萄から作られる貴腐ワインや白は、ドイツでも最高との評価を得ている。

ブドウ畑で作業している農夫たちを見かけた。今にも落ちそうに、最大斜度が70度の斜面もあるという斜面に張り付いて作業をしている。
上り下りも大変そうだ。
美味しいワイン作りには過酷な努力がいるのだろう。
この地に12世紀に建てられた修道院は、葡萄を栽培し、ワイン作りを盛んに行い、ワインビジネスに大きな影響を与えたそうだ。そんな訳で、片手にワイングラスの修道僧がデザインされた看板があり、それを掲げるレストランを多く見かけるのだろうか?


クルーズ船は、小刻みに設けられた右岸と左岸、交互にある集落の船着場で客を乗降させながら進んだ。最上階の甲板が一般客用スペース。1,2階のキャビンは追加料金が必要とのこと。
冷たい風が吹き抜けて肌寒さを感じる甲板に、自分でイスを並べて座る。すぐに、船上は、観光客で一杯になった。バーカウンターで購入したビールやコーヒーを飲む人、美しい風景に感嘆の声をあげる人、色々だ。地元EUにアメリカがメインのようだが、中国、韓国、日本の団体客も多かった、国も人種も色々だ。家族連れやカップルも結構いた。


なんの前触れも無く、歌声が聞こえだした。こんな洒落たイベントもあるのかと、見に行くと、指揮者を前にして、20数名のグループの男性コーラスだった。60歳過ぎの男性たち、同窓会か?ライン河クルーズで歌う会?当然プロではない。
2曲歌い、リクエストに応えて、もう一曲歌った。旅情を盛り上げた楽しいパフォーマンスに、盛大な拍手を貰っていた。


ライン河で、この区間が一番の古城ウオッチエリアと言われるだけあって、本当に次から次と個性豊かな古城が登場する。
この古城の大目的は、ライン河を航行する船から通行税を取ることだった。こんなに、沢山チェックポイントがあって、通行する船はいくら払ったのだろうか。
絶好の天候に恵まれ、私は初秋の木々の色付きに馴染んだ古城や街並みを撮りまくった。一瞬の内に、通り過ぎた風景が、その時のスナップ写真によって、匂いや風や音、陽射しや空気などとともに、後日、甦ってくるのは楽しい。
キャンピングカーやトレーラを川沿いに多く見かけた。隣に小さな家があるものもあった。
どんな生活をしているのだろうか。2,3年、キャンピングカーで放浪生活するのも楽しそうだ。


ローレライの話は、不実な恋人の裏切りに絶望した美しい乙女が、岩山から身を投げた。そして、水の妖精となり、その美しい姿と声で漁師を誘惑し、魅了し、川底へと導くというもの。話にはロマンも感じるが、実際は川岸に大きな岩山があり、川幅が急に狭まり、川底には岩が多く、流れが速く、蛇行し、航行の難所になっている。
ということで、大きな岸壁がローレライだ。



流域の小さな街のようだが、船着場を出たところに日章旗が掲揚されていた。見渡すと世界各国の旗が、河沿いにはためいていた。
世界から多種多様な観光客が押し寄せるライン河観光のメッカなのだろう。
観光用の乗り合い自動車(汽車)もなかなか凝っている。
ここの小さなホテルのレストランで昼食になった。昼でもビールは付き物で、女性観光客でも半数は、ビールかワインを飲んでいた。
だいたい、白ビール、ダークビール、地ビールの3種から選ぶ。日本の地ビールは、苦かったり、何かの味がとがっていたりするが、ここの地ビールは、フルーティで滑らかで飲みやすく、とにかく美味しいし、フレッシュだ。白もダークも旨い。

川沿いの広場では、フリーマーケットが開かれ、洋服や民芸品などが売られ、地元客か?観光客で賑わっていた。

旅人・中西祥司
外資系医学新聞社を経て、ヘルスケア領域を専門とするマーケティング&コミュニケーション・エージェンシーの役員。営業企画・ビジネス開発を担当。現在、新製品(医療用医薬品)の上市プロジェクトで東奔西走中。