1979年の革命で厳格なイスラム教国に戻ったこの国では飲酒はもちろん禁じられ、服装にまでイスラムの教えが及んでいる。外国からの旅行者といえどもこの規制下に置かれる。
渡航前からおよそ1週間の禁酒は覚悟していたからいいものの、歌舞音曲はどうかが気になっていた。公衆の前とか公の行事では皆無だろうと思っていた。しかしどうやら細々とでもペルシア伝統楽器の製作が存続しているのを見てうれしかった。
その店でセタールを一台買い求めた。あやふやな記憶だが、たしか80という数字をドル紙幣で払ったように思う。テヘランのアメリカ大使館占拠事件からもう10年も過ぎて、まだ街のあちこち、高級ホテルの壁にまで
Down with USA(アメリカをやっつけろ)というスローガンが大書されていたのに、現実ではドルが流通していることに不思議な驚きと、市民のしたたかさを感じたものだった。
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