JR新橋からタクシーを拾い六本木の交差点へ向かった。土曜の夜と云うこともあって、交差点周辺は人と車の喧騒が渦を巻いていた。3・11の東日本大震災以来静まり返っていた六本木も、7ケ月前の賑わいを取り戻しているようだった。この日は特に、欧米のお盆のようなハローウインの前々夜。交差点周辺では、ハローウインの仮装をしたファミリー集団が記念写真を撮ったり、キャバクラのお嬢ちゃん達が雑踏の中、仮装をなびかせて客寄せ走りをしていた。
夜の六本木に足を向けたのは久しぶり。ここのネオンは、口の広い花瓶に原色の花々を無造作に投げ込んだ雑然さが六本木流。銀座のネオンは、規則正しく落ち着きのある大人の作法に沿った銀座流。この対比が面白く、たまに二種のネオンのシャワーを浴びながら、遊び心のエネルギーを注入している。
ネオンに誘われて飯倉の交差点まで、けもの道を歩くような感覚でさまよいながら、程よい時間となったので「スイートベイジル139」へ向かった。
この店は、六本木交差点から芋洗い坂を50米程下った右側にあるハイクォリティな、レストランMusic Club。連日、在外トップクラスのミュージシャン達が熱いステージを繰り広げ賑わっている。今夜はここで音楽のシャワーを浴びることであった。
日本のブルースキングと称されている近藤房之助氏の知遇を得たことが弾みとなって、秘められていた感性が開花し、ブルースが歌える歌姫としてデビュー6年目を迎えた、ヤスミンと云うソロユニットのボーカルであるmichi(ミチ)のステージがこの日のお目当てである。
彼女を知ったのは、友人から紹介され「poo poo pi doo」と云うアルバムを手にした6年前。どのように成長したのか、どんなステージパフォーマンスを魅せるのか、ラベルに深紅のバラ4輪がシンボルで、花の果実を思わせる芳醇な香りが華やかな、フォアローゼズのオンザロックを傾けながら開演を待っていた。
最愛の女性への情熱の証として誕生したバーボンウイスキーを、フォアローゼズと名付けたそうで、今夜のステージに相応しい選択で乾杯!。バーボンが体の中を駆け巡りだしたのとタイミングを合わせたように、ファーストステージが始まった。
"ヒカリノキオク・ライブツアー2011・黄昏ミュージックホール"のファイナルステージに相応しく、5人のホーンセクションを加えた9ピースを従えてのステージは豪華で、2ステージ18曲を歌いあげた。時にはオルタナティブでパワフルに、時には、けだるくブルージーにと、硬軟巧みに操りながらのステージから、michiの着実な成長を感じることが出来た。
生きる過程において経験する様々な苦悩や歓喜、悲しみや怒りや喜びが渦巻く人生の機微を、明るくてどこか渇いたフィーリングで、聴く人の心を揺さぶる"ヤスミン・michiのブルース"・・・そんな進化を期待しながら家路についた。
心のリフレッシュ、遊び心のエネルギーを充電する方法は人それぞれであるが、私にとっては、なんと云っても「ネオンと酒と音楽に、心を許せる友人」これらが、明日の活力にもなっている。いい夜だった。
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